背中を押す言葉

ポンティは(今のところ)主に、日本国外の外国に居住しておられる通訳者を現地で派遣するということを行っているわけですが、かく言う私自身もイタリアに住んでいます。

こちらの生活も12年ほどになって慣れた今となっては外国暮らしなんて全然たいしたことは無いと言えてしまうのですが、振り返ってみると確かに色々と苦労したこともありました。新しい文化、言葉、仕事、滞在許可などなど…。

一人でここまで来るのは不可能でした。様々な方に出会い、支えていただきました。そんな中でとりわけ京都国際特許事務所の小林先生にはお世話になりました。京都にあるこの特許事務所に私は3年ほど勤務したのですが、そこで言葉を扱う仕事の厳しさと面白さを教わりました。(特許の仕事は発明された技術を文章でもって極めて正確に表現することが求められるのです。)

私がイタリアに行きたいので会社を辞めたいと言った時、その時私は30代の前半だったのですが、先生は「若い人が冒険をするのは大変に良いことだ。ぜひ頑張ってください!」と背中を押して下さり、しかも外国で仕事を見つけるのは大変だろうからとリモートで仕事ができるように取り計らって下さいました。

ポンティの仕事がある程度軌道に乗ってきたので特許事務所の仕事を終了させていただきたい旨を申した際には、私の勝手な都合を申し上げて良いものだろうかと不安を覚えていたのですが、「この時を待っていたよ、ますますの発展を!」と温かい言葉を頂戴しました。これは私の心に沁みました。

他にも数多くの方にポジティブで有意義な言葉をかけていただいたり実際的なことを教えていただいたりしました。感謝に堪えません。

人はたった一言で思ってもいなかったほど強められることがありますよね。日本国外での通訳案件では重要なミッションで海外出張に来られてプレッシャーを感じておられる方などに通訳者が精神的サポートを(慎み深く)行うこともできるでしょう。また、現場で孤軍奮闘するかもしれない通訳者にポンティから親切なフォローをすることもとても大切です。

私は色々と励みをいただいてここまで来ました。その恩を忘れることなく、人を強めるために言葉を使っていけたらと願っています。

(山根 力)