私の初めての通訳

通訳にも最初の1回目というものがあります。初めて通訳をする。いやー考えただけでもドキドキしますね。

私が初めて通訳と呼べるものを行ったのは約20年前。日本で大学生の時でした。100人ほどの会合に、たまたまアメリカからのゲストが一人来られたのです。この方にインタビューしたいという希望があって山根であれば英語がわかるから通訳をして欲しいと頼まれたのです。

こう見えましても(ってどう見えるのか知りませんけれど)ワタクシは大変に緊張するタイプでして、できることなら丁寧にお断りしたく思いました。しかし確かに皆さんの中であれば英語が一番わかっているのはたぶん私という状況。あー。それで仕方なく引き受けて通訳をすることになったのです。皆の前に座って…。

出来の方は…頭の中がほとんど真っ白でした(苦笑)。緊張と必死さで汗をかきながら訳したのを覚えています。終わった後で知り合いに良かったとねぎらってもらいながら、「太平洋と大西洋が逆だったよ」と指摘されて赤面しました。

この時のことは今でも忘れていません。上手だった下手だったということよりも、少しでも人の役に立てたという充実感が残りました。主役はあくまでも私ではなくインタビューされた人だったわけですが、通訳がいなければ何も伝わらなかったわけですしね。

そうそう。こういう「この場で自分がしっかりやらなければ話が通じないんだから喜んでもらえるよう精一杯やってやろう!」という前向きな気持ちが通訳には大切なのでは無いでしょうか。慣れないうちは特にそうですが、ある程度経験を積んでも多少は緊張するものです。それがドキドキ感 = アドレナリンをプラスの方向に持って行く秘訣でしょう!

(山根 力)