先日ミラノの自宅で本を読んでいたら、窓の外から、クラクションとともに大きな怒鳴り声が聞こえてきました。
「何考えてるねん! XXXXXX(罵倒の言葉)!!!! ありえないだろ!!!」
という聞くに耐えない言葉で罵っています。これはただ事ではないぞと窓から顔を出して下を見てみると、ははーん。一方通行の道路に対して逆走しようとしている中型トラックがいて、そのせいでブロックされた自動車に乗っていた若者が怒り狂っているのでした。
一方通行の道を逆走なんてしてはいけないのですが、車があまり走っていないのを見計らって僅かだけ戻って横の道に入りたかったのでしょう。ところがそのタイミングでこの若者が運転する車がやってきて、とうせんぼをしてしまうことになったわけです。
自動車の若者は運転席のドアを開け出ていきり立っています。他方、トラックを運転しているのは若い男性。そしてトラックの近くには、女の子が。おや、うちの階に住んでいるフォトグラファーのマルタちゃんではないか。
これは一触即発だぞ。危ない感じだぞと手に汗を握りながら見ていました。するとマルタがその男の方に歩いて近づいて行きます。めちゃくちゃに言い返すのだろうか、と思いきや! マルタは両手を合わせて「ごめんなさい!」と言ったのです。
すると男は明らかに拍子抜けしたのか、「い、いいんだよ」と突然におとなしくなり、車に乗り込んでバックしてトラックが次の通りまで(10メートルほど)逆走できるようにしてあげました。その間何度もマルタは、「ごめんね」と謝り続け、最終的に男はその車にのってすーっと行ってしまいました。
一部始終をみていた私は深い感銘を受けました。こんなに罵倒されながら、咄嗟にごめんという言葉が言える人はそう多くはないでしょう。素晴らしい人格ではないか。
数日後、マルタと階段で出会った時、「先日のあれ見たよ。すごいよあの状況で謝れるだなんて!」と褒めたらマルタは「だって私が収めなかったら、トラックを運転していた私の彼が降りてきて絶対殴ってたし…」とモゴモゴ言っていましたが、それにしてもお見事でした。
山根
