名前のアクセント

みなさんこんにちは! 本日はイタリアで名前がどう発音されるかについて。

日本語と比較するとイタリア語はアクセントの位置を非常に大切にする言語で、単語のどこに強弱があるかで意味がすっかり変わることもあります。

一例ですが、Ancora と言う単語はアン「コ」ーラ と、コにアクセントをつけると「さらに」という意味の副詞になりますし、「ア」ンコラ と、アにアクセントをつけると「錨(いかり)」という全然違う意味の名詞になるんですね。なのでしっかり強く発音することが大事なんです。

さて、両親がつけてくれた私の名前はチカラと言うのですが、自己紹介の時に日本風に「ちから」と発音するとアクセントが特になくフラットなものですから、いつも「え?」と聞き返されるんです。イタリア人は私の名前のどこかにアクセントをつけたくて仕方がないのです。笑。

イタリア語の基本的文法規則によれば、後ろから2番目の母音の位置にアクセントが来るので「チカーラ」と発音するのが一番しっくりきます。よってイタリア人のみんなは私のことを「チカーラ」と発音していて、私もそれに慣れています。

3年ほど前のこと。私はFabio(「ファ」ビオ)という人と知り合ったのですが、彼はなんと、私のことを チカ「ラ」 と、最後にアクセントを置いて呼んだのです。チャオ チカ「ラ」! …実に斬新です。でもFabioは他のイタリア人が私のことをチカーラと発音しているのに徐々に気づいたらしく、チカ「ラ」が少なくなり、チカーラに収束して行きました。

時が経過し、コロナウイルスも収束しはじめてきた最近。たいへん久しぶりにヴァルターという南米出身の友人にばったりミラノで出会った時。彼は私のことを大声で チャオ 「チー」カラ!!! と呼んだのです! わたしは、ついに。と思いました。2〜3時間ほど会話する中で、彼は何度も「チー」カラと呼んでくれました。

チ「カ」ーラ
チカ「ラ」
「チー」カラ

これで全てが完成しました。みなさんもイタリアに来ることがあればお名前のどこにアクセントが置かれるか気にしてみてくださいね。

山根 力