手を振る習慣

私はミラノ郊外に住んでいるのですが、同じ家に居続けて13年ほど。そんな中、「すごくいいな」と感じてきたことがあるので書いてみます。

一つのところに長く住んでいますと自然と知り合いが増えてきます。そうなると近所の人に出会ったときにはいつも「Ciao!」と挨拶するわけですが、それだけでなく、私を知っている近所の人は誰もが車でブーンと通りがかるとき、必ず、そう必ず! うれしそうに手を振ってくれるのです。私を見かけると手を挙げるというよりも振ってくれる。やあ、という挙手ではなく、バイバーイ! という横の動きが入るのがポイントです。

あ、ども、というご近所付き合いの挨拶というよりはむしろ、やあ元気してるかいー! という「会えて嬉しい」気持ちが伝わってくる仕方で毎回挨拶してくれるのです。このあたりに住む人はそういう習慣を持っているのです。

数日前なんか、朝の8時ごろに犬を散歩していたら同じマンションに住んでいていまはすっかりママになったキアラがご主人さんと車に乗っていて、交差点で私達を見かけるやいなや、バイバーイ! 以外に形容しようのない仕方で手を振ってくれました。もちろん私もにっこり笑って手を振り返しました。

人間であるからして、私達は誰かにいいねとか、ありがとうと言われると嬉しい気持ちになりますよね。常時とはいわずとも時々でもいいから認められたい欲求があるのではないでしょうか。

認められるためには人をあっと言わせなくても大丈夫。インスタですごい写真を上げなくても問題ない。今日君と会えて嬉しいよって言ってもらえるだけで十分なんじゃないでしょうか。そう、バイバーイと手を振って挨拶するだけでOK!

逆も同じで、にっこり笑って手を振れば他の人をそういう気持ちにできるんですよね。ではみなさんバッハハーイ!

山根 力